ここ数年“癒し”という言葉を頻繁に耳にします。ヒーリングの音楽やマッサージ・アロマなどがブームを呼んでいます。
しかし、一方的に与えられるものは癒しとはいえません。単なるリラックス効果に過ぎないのです。
本当の癒し効果とは動植物と対話をすることによって相互に生まれるものなのです。生き物との対話は自然が持つ本来の癒しをもたらしてくれます。
優雅に泳ぐ熱帯魚を見ているだけで、心が癒されたり穏やかな気持ちになったという経験はありませんか?
生命が地球に誕生して38億年と言われています。その長い時間の殆どを海の中で生活していた私たち生命体にとって水の揺らぎや音は遠い昔の記憶を心地よく呼び起こしてくれるのです。
水槽の中を自分達の大自然と思い、泳いでいる魚たちを見ること、そして話しかけること。水の揺らぎすら人を真に癒してくれます。これがアクアリウムセラピーです。
最近は「脳トレーニング」や「脳の若返り」などが流行しています。
医学・科学の分野で脳の働きや仕組みが盛んに研究されてきていますが、近い将来には人に「癒し」をもたらす方法やそのメカニズムも解明されるのではないでしょうか。
私たちが扱うアクアリウムも気持ちを和らげる効果があるのです。
歯科治療の前に鑑賞魚(アクアリウム)を黙視した患者は、それだけでも緊張が解けると言われています。
また、鑑賞魚(アクアリウム)の世話をするだけでもリラックスできることがわかっています。
海外では認知症に対するアクアリウムセラピーも実践されています。
熱帯魚と対話することにより、精神的にも落ち着ける状態になるのです。
脳波の一つにシータ波と呼ばれるものがあります。
シータ波は脳内の海馬と呼ばれる記憶をつかさどる部分を中心 に観察される脳波で、記憶や学習と深い関連があるといわれています。
ウトウトと夢を見ているようなとき(レム睡眠時)やとても心地のよい状態のときにシータ波が出ています。
脳の完璧な癒しを体験するには、まず、きれいにディスプレイされている多少大きめな水槽の前で、リクライニングのロッキング機能の付いたイスにからだをあずけます。
適度に体を揺らしながら心地の良い音楽(とくに超音波の出るもの)をバックに、何も考えず心を「無」にして5~30分ほど水槽を見ていると、次第に脳からシータ波が出てきます。
このような状態に身を置くことがもっともリラックスできます。
脳波を測定する機械を使って確認したところ、新聞を読んでいるときには検出しなかったシータ波が、アクアリウムを見ているときには検出することができました。